目次
評価制度が持つメリット・デメリット
組織が大きくなる過程や年度のタイミングで昇級やボーナスの査定の一つで評価制度を導入する中小企業が多くあります。
中小企業が求める管理職像、技術項目など企業側としてこうあって欲しいというその項目に高い数値を出せる人が評価される評価制度です。
「役職別」・「技術別」・「能力別」・「数値達成」・「人間性」・「理念の理解」など更に細分化も含めると企業により項目は多岐にわたります。また、日頃の行動が評価されて嬉しい人、嫌な人などがいて反応も様々です。
さらには、作っただけで上手く機能しない、使われずそのままになっているなどよく耳にするお話です。
一般評価制度の成り立ち
最初に中堅・大手企業の評価制度が作られた頃は、安定したサービスや商品を提供する右肩上がりの時代背景や企業の在り方を考えると企業によって評価されるということが自然だったようです。
中小企業にとってこれからの時代は社員を評価する制度というよりは、社内で社員が生き生きと働ける為の制度でなくてはいけないと思います。
大手企業とは違い、中小企業のように個性が活かされて掛け算となり、成長する組織にこそ必要なのです。それが中小企業向け考課制度です。
評価制度の問題
また、評価制度を行う場合、一般的に評価者研修が必要になります。
評価項目と照らし合わせて数値で判断し評価する。その社員の行動を評価する訳ですが、評価者自体がまだまだ、未熟な場合は冷静な判断が出来ません。
自分の好き嫌いで数値化する、他部署の評価は低めにする、その時の気分で判断する、派閥があるなど、偏った精度の低い評価制度になります。
中小企業の場合は、評価者研修をしても効果があまりないというのが現状です。さらに管理職の成長がばらつく中小企業の場合は、「企業の成熟度」と「組織の成熟度」、「人の成熟度」と合わせて考えるとただ導入すればいいわけではなく、未熟な中小企業の組織の場合には導入は慎重に考えないといけません。
評価制度から「考課制度」へ変えるメリット
しかし、中小企業向けの方法はあります。評価者になる人達を成長させながら、社員のやる気を引き出す制度を導入する方法が・・・。
これからは、
評価制度ではなく考課制度
どうありたいかを社員自ら考え、目標を持ち、行動する。やらされ感も少なくなり、自分らしさが表れます。人と比べる相対評価ではなく、個人個人の取り組みを考課する絶体考課で行う。
中小企業向け考課制度は、一人の社員からでも目標設定に有効に機能します。
社員一人一人が成長するための目標設定として活用することができる
社員との距離が縮まり、目標の共有化ができる
社員のモチベーションが上がる
上司のマネジメントスキルが上がる
社員とともに作成することもできるため、社員の自主性が生まれる
部署の課題や部署間の違いも明確になる
など、組織マネージメントにおけるメリットが多く挙げられます。
中小企業の組織を作り上げる基盤となり、安心して成長拡大の戦略に進めることができます。
中小企業向け考課制度を導入するために
中小企業向け考課制度を導入するためには、社内の環境が整っている必要があります。又は、整える必要があります。
整っているかどうかを判断するために、社内の環境・組織分析が役立ちます。その分析が必要かどうかは、下記のようなパターンが挙げられます。
1.経営者自身の意識
中小企業の経営者自身が社員の成長を心から望んているか、社員と向き合い、成長する意識があるかどうかが大事です。経営者にとって都合のいいツールとしてだけ使うのでは、意味がありません。
中小企業向け考課制度は素晴らしいものですが、使う人・組織によって大きく意味合いが変わります。
評価制度と同じく、作っても適正に活用されなければ意味がありません。
経営者がどれだけ社員に対して成長を願えるかが最大のポイントとなります。
2.管理職が機能しているか
管理職を巻き込んで考課制度を行いたい場合は、管理職が育っているかチェックする必要があります。
管理職自身が役割を理解しているか
マネージメントのスキルが有るか
部下の育成ができているかなど・・・
3.事前に管理職を巻き込む
中小企業向け考課制度を取り入れる場合、先に管理職を巻き込むことで、スムーズに導入することが可能です。
そのためには、考課制度の話よりも前に考課制度を導入できるだけの管理職に成長させること。
ヒアリングをしっかりとした後で御社に合う管理職研修を行うことで、管理職自身のスキルアップを含め、考課制度に対する意識を高めていく必要です。
4.見落としてはいけない最も重要な事
実は、とても大事な項目があります。それは、考課項目の数の事です。簡易なものを作ろうとすれば、考課項目の数も少なく実際考課の時には、あまり手間もかからず進めることが出来ます。しかし、考課項目が少ないということは、人を観る目、考課視点の数が少ないという事でもあります。効率的に進めるにはいいのですが、視点の数が少なく、思考も広がらず、観る目が成長しません。
中間管理職が業務として行う場合には、その管理職の成長度に影響します。社員のいろいな部分を観て、その社員の為に、成長してもらうためにしっかりと観てあげることなのです。効率的に進めようとする為に、時間が掛かりすぎるから面倒くさい事をさけたいと思うかもしれませんが、結果から逆算すれば、項目数が多いほうが視野の広い、深く物事を考える成長した管理職が育ちます。反対に考課項目が少ない制度だとどんな管理職が育つのでしょうか?また、項目が少ないとそこだけを認められるために仕事の仕方を変えてくる社員も出てきます。
中小企業の中には管理職が育たなくて困っている企業がたくさんあります。簡素化し自社に合わない評価制度をとりあえず行っていて、公平に判断していると企業側のアピールに使われています。効率化したことで、深く考えさせない、視野を広げるようなことをしていないなど結果的にそうなっています。面倒くさいと言われる中にヒントがあります。思考を育てるヒントがあるということです。
自社の組織に成長度、管理職の成長度をしっかりと俯瞰してから、評価制度の仕組みを考えてみることをお勧めします。意味のない評価制度にならない様に・・・。
中小企業の場合、最終的には経営者の判断が大きく、評価制度の重視する割合はあまり高いものではないというのが現実です。ですから、評価制度ではなく、考課制度として社員が成長する為の要素を多く含めた考えで運用されるほうが、社員の成長には大きなメリットとなるでしょう。
まとめ
「中小企業向け考課制度」について、いかがでしたでしょうか?
導入は、勇気がいることだとご理解いただけたかと思います。成長する組織を創るためには、導入を考えてみることがとても大事です。
詳しく知りたい方は、いつでもお気軽にご相談ください。