中小企業の組織は、業界の成熟度、企業の成熟度、社員の成熟度、経営者の成熟度に影響されます.
目次
中小企業の組織は4つの視点から影響を受けることを知る必要がある(組織マネージメント)
① 業界の成長も企業の成長も商品のライフサイクルによく似ています。
製品のライフサイクルは、研究期、導入期、成長期、成熟期、衰退期と歴史をたどります。
1995年以前は、製品の寿命が30年と言われていました。ですから企業の寿命も30年だと定説では言われていました。しかし、その中でイノベーションを起こし、進化し、歴史のある企業へ成長してきた数多くの企業があります。
ところが、世界を驚かせた1995年のWindows95が発表された時から時代が変わりました。パソコンを習ったことが無い人でも、誰でもがパソコンを使って世界と繋がることができ、誰でもがリアルタイムで世界の情報を知ることができるようになりました。この時を境に製品のライフサイクルもあっという間に短くなり、製品の成熟・業界の成熟が早くなったと言われています。今では7・8年という説もあります。時代のスピードが変わったのです。
② 企業の成熟度も歴史の長さに関係なく様々です。歴史があるから成熟しているのでありません。
いつになっても問題が起きてから解決に向かう企業は、まだまだ未成熟な企業であり組織です。その多くの場合、社員が育ちにくい、管理職が育ちにくい環境がある組織に多く見受けられるということです。その俯瞰するポイントは様々な所にあります。
問題が飽きる前に課題を見つけ出し、準備、解決する。
ヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則 1:29:300の法則)がその企業に合った社内風土として定着して、いつも改善を行っている企業は、成熟期に入っている企業ということが言えるかもしれません。
③ 社員の成熟度=精神的な成熟度
御社の社員は、言われてから行動しますか?
言われる前に自主的に行動しますか?(自主的と主体的は違います)
仕事に対して計画性はありますか?
業務時間などを含めて時間管理はできていますか? 時間に追われていませんか?
社内で他の人の価値観を受け入れられず、口論になったり、無視したりなどのトラブルが起きてませんか?
すべては、精神的な社員の成長度に繋がります。これ以外にも技術の成熟度等々があります。
④ 最も影響を与えているのが経営者の成熟度です
経営者の成熟度が一番の課題です。採用が上手くいかない、社員が育たない、役職が育たないという相談は多くありますが、現実は経営者が組織を俯瞰できず未熟な判断のために起きている中小企業が大半です。
決めたことができない組織
管理職が育たない環境、育てていない経営者
管理職が辞めてしまう環境
いつまでも自分が第一線に立たないと企業が回らないと話す経営者
社員に興味がなく利益ばかり考えてる経営者
行き当たりばったりの戦略しかない経営者
ただ、経営者だから人格者であるとは限りません。経営者だから成熟しているわけではなく、成長途中であり、誰でもあると思いますが、自分自身のことがわからないため、同じことを繰り返すとということも多々あります。
そして、自分自身が課題と気づいている経営者は成長します。
後継者という立場を過信して偉くなった気がしている経営者
創業者によくあるケースですが、すべてを自分でが知ららないと不機嫌になる経営者、後継者の座を勝ち取って認められて承継した経営者、流れのままに経営者になった方など様々な経営者がいます。
失礼な言い方になるかもしれませんが、組織は全体を理解した上でバランスをとることが大事ですから、経営者がそれなりなら全体がそれなりで成り立ちます。しかし、それなりの企業は成長するわけではなく、衰退へ向かいます。
この全体バランスをしっかりと感じながら、成長させていくことが中小企業ではとても大事なのです。
魔法のように一気に人が、組織が、成長することはできません
どこかの部門を良くすればいいというのではなく、一部だけみていると改革の影響が歪みとなり他の部署に現れて、また違う問題が起きてくるなど日常的によくあります。
例として、ルービックキューブのように一面にとらわれていていると他の面が揃わないように、面を作りながら時には崩したり、組み立て直したりすることも必要になったりします。
この感覚的な部分も経営者のセンスとなります。時代が変わり価値観が多様化する時代、何かをすれば、それに対して反対も生まれてきます。
教科書に出てくるような方法では、中小企業・小規模企業は簡単には改革できません。どんな組織もこれでいいというパターンがある訳ではないのです。
簡単に考えてはいけない企業研修
大企業は、しっかりとした組織体系が出来ており、あまり他部署への影響はありませんが、小規模企業だと研修を受け入れられる風土がなかったり、研修後に他の部署、組織に影響を与えてたりします。
それは、プラスの影響ばかりではありません。
マイナスの影響もあるということです。
研修で習ってきたことが生かせない風土の場合などは、かえってマイナス方向へ向いてしまい社内の問題を大きくしてしまう場合も多々あります。
管理職研修を受けてきた場合
管理職を育てるのが目的ですが、経営者との関係性も大変重要になります。管理職が研修によりいろいろ学んできたと仮定します。
研修により知識が増え、視野が広がることにより、部下への知識の押し付けをしたり、一方的で部下の成長に合わせて知識の移植が出来ないなどが起きたりします。また、最も危険なのが、成長していない経営者に対して見る目が変わったりします。この経営者の下で仕事をしていていいのか? 不信や不安になりモチベーションの低下に繋がります。
経営者自身がいつも成長していることがとても大事になります。
新入社員が研修を受けてきた場合
細部まで指示が出来ない場合や行き当たりばったりの指示の上司がいた場合、仕事の仕方、指示の出し方など疑問が生れ、上司をなめるようになります。それで、お尻に火が付いて、頑張る上司ならいいのですが、部下をいじめの対象にしたりもします。
しっかりと組織、人間関係を俯瞰し、見極めて研修に出すようにすることです。
そして、どんな時も経営者はいつも見られている存在として、成長し続けなければなりません。研修などもただ受けさせればいいのではないということです。
組織全体を俯瞰して現状を理解し、どこから手を付けるのか?
改革の行動をすることでどんな歪みが生れるのでしょうか?
プラスの面は何なのか? マイナスの面は何なのか? その為にはどんな準備をしたらいいのか? 体系化して計画的に行うためにはどうしたらいいのか?などいろいろと考える必要になります。
このイメージが出来ますか?
この部分は、自社の組織を俯瞰して、シミュレーションをしてみてください。ヒントが見つかるかもしれません。しかし、この部分は人を育て組織を創ってきた人にしかわかりにくいかもしれませんが・・・。
それ以外にも教育制度の体系化やキャリアプラン、目標設定の為の考課制度(評価制度)などその組織の成熟度に合わせて、タイミングを見て導入していくことが大切です。
どんな制度も仕組みも組織の成長、企業の成長、経営者の成長に合わせて変えていくという事です。
そして背伸びをしない、焦らないことです。人の成長には時間が掛かります。暖かく見守る気持ちも育てながら、一人一人社員の成長を見てあげてください。人材育成には時間が掛かります。今から未来を考えるのではなく、ゴールから逆算して今から何をするのか計画を立ててみてください。