経営者からのお問合わせの中で最も多いのが、管理職が育たなくて困っている。事業拡大も出来ない。生産性を上げることも出来ない。採用しても育てられないので人員を増やすことも出来ないと・・・。
何故、人が育たないか、真剣に考えたことがありますか? どこかで真剣に考えないと時間だけが過ぎていきます。育成には時間が掛かります。
逆算して考えてみてください。いつまでに管理職を育てるのか? いつまでに組織を改革するのか?
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社内に人が育つ環境が無いという事です
社員も管理職も勝手に育つわけではありません。
理想の上司や先輩を見て覚えなさい。というのはひと昔前のお話しです。見て学べる、教えなくても自ら学べる主体的な人材が採用で来てくれればいいのですが、小規模企業や中小企業ではそうはいきません。大手のように欲しい人材が応募してくるほど自社が有名なわけでもなく、ビジョンが地域社会に周知されている訳でもなく、ましてや福利厚生は大手と比較にならないほどの違いがある場合もあります。自社を俯瞰し現状を知ったうえで、どうしていけばいいのかを経営者自身が考える必要があるということです。
中小企業の場合、自ら学び成長する主体性がある人材はなかなか来てくれないのが現実です
採用活動しても会社にぴったりの人材がすぐに集まるわけではありません。人が来ない、来た人は自社では無理だなーということが多い、無理に採用しても現場が困るという現実、そんなことがありませんか? でも、人が足りないから入れるしかない。現場からの不平不満が溢れ出たりします。
この繰り返しに管理職も現場の社員も疲弊してしまう・・・。この環境では、人が入っても育たない、育てることができる管理職がいない。この状態で管理職が育つ環境があると思いますか? 社員が育つ環境があると言えますか? では、その為に必要な事は何でしょうか?
育つための必要なこととは何でしょうか?
人を育てて組織的に結果を出せるタイプの人と自分だけの仕事に特化して結果を出す方がいいタイプと分かれます。もちろん自ら結果を出しながら、人を育成することが出来る人もいます。しかし、現実には、無理に年功序列で役職が決まったり、勤続年数とか営業成績の結果で役職を決めていて、本来のその人の能力が発揮できていないというのが、現実ではないでしょうか?
スポーツの世界に名プレーヤーは名監督にはなれないという諺がありますが、一概には言えませんが、ビジネスの世界にもそのような部分があるように思います。個人の成績が良い人が、誰しも人を育てられるわけではないのです。
また、その考えで進められている古い社内の風土や規則は、変更するべきだと思います。もしかしたら、古い規則やルール、固定観念が成長を妨げているのかもしれません。
社員が育つ環境を作るためには、どの様にしたらいいのか? 育成ポイントは?
ポイント 社内にモチベーションが高くなる仕組みを作る
生き生きと働けるやりがいの明確化です。自社の社員にモチベーション高く仕事をしてもらうという目標は、経営者にとって、非常に重要な課題です。何によってやる気のスイッチが入るのか? 社員一人一人のモチベーションを分析して生産性向上のため、組織の改革のために「5つの価値観」にデータ分類し、課題を経営計画に落とし込みをしながら、組織改革をしていくことです。
モチベーションが高まることで、サービスの質や技術の質が変わり、生産性の向上に繋がり、社員の定着率もアップして、結果的に社員の成長と業績アップへと繋がります。しかし、モチベーションとは社員一人一人の中にあるもので、自分自身も気が付いていない場合も多くあります。「5つの価値」の中に理念価値重視、価値の共感です。
適材適所を考えること
ポイント その人に合った配置転換により、個性が活かされモチベーションが上がり成果に繋がる
以前のご相談であったお話ですが、40人ほど入る飲食店が上手くいかないということで現場を見るためにお伺いしたことがあります。店舗の雰囲気、店舗の造り、メニューや価格など、スタッフの仕事ぶりを見ながら、いろいろと役員の方とお話をさせていただいたのですが、サービス業の店舗の場合、とても分かりやすいのですが、店長の技量で売り上げが変わってしまいます。店長の顧客視点で、サービスが行き届く店舗は、店長がしっかりとスタッフに話をしています。店長がいい加減だとお店もいい加減になります。
皆さんも感じたことがあると思いますが、「えーこの店なに?」 「気が付かない?」 「顧客を見ていない?」 「スタッフ同士連携が取れていない?」 忙しい中、手ぶらで動くスタッフ等、気になったことがありませんか? それ以外にも、心地よく過ごせる環境とか、料理の味、価格などありますが、まずは、サービスが行き届くかどうかが問題となります。お店のコンセプトにもよりますが・・・。
相談を受けたこの店舗は、女性社員が店長で運営していました。しかし、動きを見ていると店長向きではありませんでした。アルバイトの中に気になる店長向きの人材がいました。「〇〇さんに店長をさせて、社員は裏方へ回った方がお店が変わり、売り上げが上がりますよ」と役員の方にアドバイスをしました。
すると役員の方から「社員がいるのにパートに店長をさせるのですか? そんなことできますか?」と訝しげに質問が来ました。「どちらの人材も活かすならそのほうがいいと思います。お客様には、社員もパートも関係ありませんよ、顧客視点から考えてください」と答えました。
不向きだけど教育のために配置するのもあるとは思いますが、売り上げが急務だった店舗ではそれは出来ません。人材の適材適所を考えて配置し、個性を生かしてあげることを優先したのです。社員は、上、パート・アルバイトは下という固定観念が企業にはあります。パートの指示で、社員が動くなんてありえないなど、いろいろと意見が出ました。
個性を生かした配置転換が固定観念を破る
しかし、役員の方と話すうちに理解してくれて、社員の方のプライドを気づ付けない様に彼女しかできない裏方で重要な仕事に配置転換をしました。その後は、お店の雰囲気も変わり、顧客に対してのサービスの質も上がりました。ちょっとしたことですが、固定観念を破るだけで、結果が変わることがあります。今までのやり方に囚われずに、大事なのは「あり方」何のためにを大事にすることです。その上で、「やり方」を考えたのは、アルバイトを店長にして、社員を裏方にすることでした。
もちろん、店の売上も上がり今現在も元気に運営されています。自由な発想で考えてみる。人材を生かすこと。今までの固定観念を無くして見たらもっと自由な発想で、アイディアが出てくると思います。